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宇宙開発裏話 Vol.20 〜もう一つの冥王星探査〜続き
このコーナーでは、宇宙開発(ロケットや人工衛星)に関する裏話を紹介していきます。 前回の「もう一つの冥王星探査」の続きです。 ボイジャー1号による幻の冥王星探査と、 今回のニューホライゾンズではどのような違いがあるのでしょう? 大きなパラボラアンテナを有する1号は、 華奢なニューホライゾンズに比べて10倍の通信速度がありました。 また、1号はスキャンプラットホームと呼ばれる、 観測機器を四方に動かせる台を持っていたため、 機器が固定されている今回の探査より自由に写真を撮ることができました。 そもそも今回の接近時には、冥王星の高緯度地域にしか太陽光があたっていないため、 赤道方向から光が差し込んでいた1号のときと比べると限定的な領域しか撮影できません。 1号にはニューホライゾンズが搭載していない、磁力計やプラズマの観測装置も詰まれていました。 技術的な進化がもたらした、ニューホライゾンズの利点もあります。 1号のメモリはわずか67MBのデジタルテープレコーダーでしたが、 今回は8GBのフラッシュメモリを搭載しています。 細い通信環境を補完できるでしょう。 各種カメラの性能は比較にならないほど向上し、 例えば紫外分光計は1号の2画素から3万画素へ向上しています。 また、1号では非搭載だった、 大気圧や温度、ダスト環境を詳しく調べる機器が搭載されています。 もしボイジャー1号が冥王星を探査していた場合、宇宙探査はどう変わっていたのでしょう? 私たちは30年前に冥王星の姿を知ることができた代わりに、タイタンは謎のままでした。 きっとホイヘンスによる着陸探査も行われていないでしょう。 また、あの有名な太陽系のファミリーポートレイトも撮れていません。 ボイジャー1号が1990年2月に撮影した太陽系のファミリーポートレート。地球上のすべての営みがたった一つの青い点に収まっている。 1号はタイタンに立ち寄るために黄道面を大きく逸脱する軌道をとったおかげで、 太陽系を大きく俯瞰できる写真を取得できたのです。 私たちの太陽系観は、かなり違っていたものになっていたのかもしれませんね。 by Fujii |
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