黄華堂☆星空ブログ

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宇宙×◯◯ Vo.29 〜ホスピス〜
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    今回は、宇宙×ホスピスについてお話しします。
    いきなりですが、ここでクイズです。ホスピスとは、何でしょうか?
    末期の患者さんが、積極治療を中止し、死に逝くまでの少しの時間を過ごすための場所と考えておられる方も多いのではないでしょうか?この解答は正しいとは言えません。また、末期の患者さんが「生きる」ところ、とした人はほぼ正解といったところです。よりよい解答として、末期の患者さんがより良く生きるための施設であり、場所であり、そのためのあらゆるケア、システム、ブロセスと言えます。ですが、ここまでの認識をお持ちの方は少ないと思います。さて、筆者は2007年より、ホスピス病棟で入院患者さん、ご家族さんを対象にした観望会を実施しています。実施のきっかけは、認知神経科学者のラマチャンドランの著書「脳の中の幽霊」の次の一節に出会ったことでした。



    「人間は自分が死ぬ運命にあることをはっきりと自覚し、死を恐れている。しかし宇宙の研究は、時間を超越した感覚や、自分はより大きなものの一部であるという気持ちを与えてくれる。自分が進化する宇宙という永遠に展開するドラマの一部であると知れば、みずからの命に限りがあるという事実のおそろしさが軽減される。」



    これは、おそらくインド哲学の考え方だと思うのですが、自己の死と日々向き合わざるを得ない患者さんやご家族さんにとって、また違った面から死を捉え直してもらえるかもしれない考え方だと思いました。そこで、黄華堂のメンバーでもある嶺重慎さんの主催されるユニバーサル天文教育研究会でメンバーを呼びかけたところ、地元の天文台職員や、星空案内人の方が応じてくださり、実施の運びとなりました。参加者に星を見てもらうことや、曇天、雨天に悩まされることは、通常の観望会と何ら変わることはないのですが、ホスピス観望会では以下の点が異なっています。



    1)参加者が原則として健康体でない、Daily Livingであること−観望者の姿勢の制限が非常に大きいことが最大の問題です。


    2)一般の観望会のように、「星を見たい」という強い動機付けをもって参加されるわけではないこと−ボランティア側が「押しかけている」ことの謙虚さを持つことが要求されます。


    3)多くの参加人数が望めないこと−ボランティアの一つの役割は、病棟に「世間の風」を持ち込むことであるので、参加者が0人であっても粛々と遂行することが要求されます。


    4) 死と直面するデリケートな場所であり、そして天体は何万年、何億年という自己の死を前提とした時間的スケールの話題を含みます。このことが患者さんやご家族の死に対する不安を喚起しないとも限りません。そのような場合にも患者さんらとコミュニケーションが継続するように、天文ボランティア自身の死生観をある程度は醸成しておく必要があります。


    上記のようなことに気を遣いながら毎回、試行錯誤で開催しています。患者さんは近い将来亡くなられる方ですが、我々もそう遠くない将来必ず亡くなります。天体レベルで見れば両者は差異がないでしょう。あなた、亡くなる人、私、生き延びる人、ではありません。どちらも亡くなる人です。


    参考文献
    【1】Ramachandran, V.S. & Blakeslee.S,2000,PHANTOMS IN THE BRAIN,山下篤子訳,脳の中の幽霊,角川書店

    By Ozaki

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